アイルランドワーホリ日記(2022~2023) ~ニート羊は英語で話す夢を見るか?~

我、古今東西の酒を愛する日本羊なり!ワーホリにかこつけてアイルランドでビール三昧。語学学習...?知らない言葉メェねえ。

人は見た目が9割

 秋に渡航し、親子三世代の暮らす賑やかな家庭でお世話になり、クリスマス前に寮へ引っ越して半分はターキッシュガイと、もう半分は3LDKで一人暮らしをし、数日前におばさまが一人で切り盛りする今の家へやってきた。

 マザーは12月の間は学生を取らない(マザー曰くホリデー)期間にしていたらしく、普段は学生3人で賑わうこの家も、今はマザーと羊の二人暮らしだ。絵を描くのが趣味、音楽を聴くのが趣味、料理が趣味、今はスペイン語学習にハマっている…と言ったように、とにかく多趣味な人で、マザーというよりは気の合う友達のような間柄だ。(おんぶに抱っこだけど)

 

 アイルランドにきて早4ヶ月。そういえば髪を切っていなかったことに気づき、せっかくの機会なのでこちらの美容院にも行ってみるかと思い立った。

 ダンズストアというチェーンのスーパーマーケットの中に薬局や電気屋やそして美容院までもが併設されており、家から近いこともあってネットで予約。カットだけで€52となかなか強気なお値段だが、近所を一通り調べた限りではこれが中央値くらいのようだ。(気持ち安い個人経営の床屋もあるにはある。)

 

 お店の中での流れは日本とほぼ同じ。予約していた旨を受付に伝えると、時間が来るまでそこのソファーで待っていて、と案内されつつ、コート類を預かってもらう。その後担当さんがやってきて席へ。オーダーを聞いてもらい(もちろん英語なんて喋れぬゆえイメージ画像持参)、まずはシャンプーへ。

 

 シャンプー台の形が日本と違い、フルフラットというよりマッサージチェアに深く腰掛けているような体制になる。羊は日本人の中でも小型。こちら基準だと子供よりも小さいこともしばしばあるのだが、想定していた通り椅子と体の形が全く合わなかった…。常に首にマックスの負担がかかった状態でシャンプーを耐え抜くことを決意。シャンプー中は熱くないですか〜などと担当さんが話しかけてくれ、なんとか意識を保ったままパスできそうだと思ったその時…シャンプー後にリンス?トリートメント?のつけ置きが必要だったらしく、そのまま10分間放置される。このシャンプー台にはそのほかにも仕掛けがあり、本物のマッサージ機よろしく背中の部分をコリコリな何かが圧迫して押してくれるのだが、これがまた一層首にくる。コ…コロして…くれ…。

 

 地獄のシャンプー台を抜けた後、次はメインのカット。座っている椅子には高さ調整機能なんてものはないらしく美容師さんはとても切りづらそうな体制だ。そして羊の首の方向をバンバン変えてくる。次は右、左、上、下…と先ほどの凝り固まった首のストレッチに最適だ(白目)。美容師さん同士はスタッフさん同士でおしゃべりをしてあまりこちらには話しかけてこないのでそこは楽。同じく隣で施術されていたマダムがうとうとしている姿をたまに横目に見つつ、羊の毛は順調に整えられていくのであった。

 

 切り終わった後はドライヤーをかけてもらい、最後に前髪を切ってもらって完成。前髪を切るときに上を向けと言われ、「は?」と声が出そうになったが失敗が怖いので大人しく従う羊。もちろん髪の毛は顔と首周りにドシャァ。知ってた。払うためのティッシュをもらえたが服の中に入った毛がチクチクするぜぇ…。

 

 初めからちょっと気になってはいたが、カットの時に切るポンチョみたいなやつも丈が短く防御力が低めだ。長袖にはもちろん、ズボンにもブーツにも毛が舞っていたがお構いなし。終いには仕上げのカットはポンチョを取り払った状態で行われ、結果はお察しの通りである。一応最後にブラシみたいなもので払ってくれるのだが、逆に襟から服の中に毛が入る。ゴージャス!!と笑う担当のお姉さんの顔が眩しくて、まあいいかと思った羊なのであった。羊メモ:美容院のスタッフさんたちはとにかくゴージャス!!を連呼するぞ!

 

 受付に戻ってお会計を済ませて外へ。目の前にあったゴールズジムが気になって仕方ない。(羊は日本にいた頃ゴールドジムの会員だったぞ!)

 日本の家族や友人に「そろそろ英語は喋れるようになった?」とよく質問される。いや全くならん(紛うことなき事実)と答えると、「ゆーても日常会話レベルは大丈夫でしょ、暮らしてるんだから。」とフォローを入れてくれるのだが、いや、マジで否。NO。英語なんてなくても金があれば暮らしていけます。

 

 そこで今回の表題なのだが、実際に羊がたまに使う英語は超メチャクチャで目も当てられたものではないくらいの赤ちゃんレベルなのだが、ある程度生活していると"コミュニケーションを取ろうとする度胸"と"まあ何とかなるしょという謎の自信"はそれなりについてくる。(諦めとも言う)

 

 そんな中でも、言葉がよく伝わるときと、逆に全く通じないときがある。トピックのレベルは同じくらいでもハッキリ違いを感じる。

 

 15〜20年前くらいだったか、『人は見た目が9割』という新書が爆発的なブームになった。実用書は普段全く読まない父親が買ってくるくらいだから相当流行っていたのだと思うが、羊も読書の練習に読んでみろ(確かページが少なかった)と言われて拝読した記憶がある。誤解を与えやすいタイトルだと思うが、ルッキズム云々の話ではなく、ノンバーバルコミュニケーションを題材にした本で、平たく言うと、人は会話をするとき、口から発する言葉そのものだけではなく、それ以外の情報を無意識に共有し合うことでお互いを理解しあっている、と言う内容だった(気がする)。声色、目線、仕草、表情…などがそれにあたる。

 

 日本語はハイテクスト、英語はローテクストなんてよく言うが、どちらの文化でもノンバーバルコミュニケーションの重要さは変わらないようで、言葉以外の情報をある程度読み取ることで、言語はとっ散らかっていてもそれなりにコミュニケーションが成立する。…といったことが、この4ヶ月の経験でふわっと体感できた。

 

 羊の場合は、世間話をしようとすると全く意味が通じないし、相手が何を言っているのかも聞き取れなくなる。自分自身あまり興味がないので、頑張って伝えよう!!とする姿勢(ノンバーバルの部分)が欠如して、アレクサが赤ちゃん言葉を喋っているような状態なのだろう。相手側も無理して聞いてくれてたり仕方なくレスポンスしてくれる状況になると、相当説明上手&話し上手な人か、英語が得意でない人相手に話し慣れている人じゃないと話が噛み合わない。笑い話をシリアスに聞いてしまったり、シリアスな話で笑ってしまうなど致命的なすれ違いも起こる。

 

 逆に、何か自分が感動した経験を伝えるとか、趣味の合う同士で話すとか、会話そのものが少し波打つような抑揚があるパターンは、お互いの言葉がチグハグでも、どちらかのレベルが極端に低くても、それなりに相手の思っていることや伝えたいことが想像しやすくなるし、自分の気持ちも伝わりやすい。

 

 比較的友達ができやすいという語学学校や、人の交流の場と言われるパブなんかは、一見誰もがオープンに見えるのだが、(前のマザーにトゥシャイと言われた)羊の場合は何かを熱心に話せる人が見つけにくく、英語を話す環境としては体質的にあまり合わないんだなということもだんだん分かってきた。思えばこの失敗はよく日本でもしていた。

 何か特定の目的を持った場所を作ることで、最近は自分から何か発言する機会も少しずつ増えてきている。合唱に囲碁、あとこれからあるオタクのイベント。そしてこれらで経験した面白かったことを家に帰ってマザーに話しながら夕食をとる。以前のステイ先では、今日の学校はどうだった?と聞かれることが毎日苦痛で仕方なかったが(その節は本当に申し訳なかった)、今の家では今日こんなことがあって…と自分から話すまでになった。人間、何歳になっても日々成長メェねえ…。

 

 というわけで、「少しは英語が喋れるようになった?」への回答は「英語を喋れるようには全くならなかったが、コミュニケーションは気持ちが大事ということが分かった!(KONMAI感」となります。ご査収ください。

 

 今日は少し真面目な記事を書いてしまった…。みなさん水曜日もご安全に!