アイルランドワーホリ日記(2022~2023) ~ニート羊は英語で話す夢を見るか?~

我、古今東西の酒を愛する日本羊なり!ワーホリにかこつけてアイルランドでビール三昧。語学学習...?知らない言葉メェねえ。

※※グロ注意※※ホルマリン漬けの世界へーハンテリアン博物館ー

繰り返しますが、今回の記事はグロ注意、閲覧注意モノです。

誤解のないように説明すると、見せびらかすようなグロではなく、科学的な意味での「生物のありのままの姿」がテーマになっています。とはいえ、内臓剥き出し〜…のものも多いので、標本が苦手な方には相当キツイと思われます。以降は、耐性のある方のみお進みください…。

ハンテリアン博物館(Hunterian Museum)

ジョン・ハンター氏という、18世紀の外科医が一生をかけて収集した(または自分で作った)標本コレクションが端から端までズラリと並べられている博物館。展示によると、ハンター氏の生命に対する興味関心は幼少期から相当のものだったようで、最初は地元の山や川辺に住む動物たちから始まり、最終的にはヒトや植物も含む生き物すべてに拡張していった…といった具合。

メインの回廊には、さまざまな生き物の標本(主にホルマリン漬け)がところ狭しと並んでいる。鳥類、爬虫類、両生類、哺乳類、ヒト(胎児含む)もうなんでもあり。海洋生物と植物コーナーは癒し。

レプリカじゃなくてリアルなん…だよね…と疑いたくなるようなものばかり。標本にする工程を想像すると…途端に手に汗が滲んでくる。時代や生まれる場所が違えば、もしかしたら自分もここのコレクションの一つになっていたかもしれない。「世界にとってヒトはただの物質に過ぎない」という現代社会を生きる人々が気付かぬうちに目を背けてしまいがちな事実を、まざまざと見せつけてくる。

 

30年以上はかれこれ生きてきて、人の生死にはリアルでもフィクションでも触れてきたけれど、ここのホルマリン漬けは「分ったつもりになっていただけ」だった羊にジャブなしストレートを何発も叩き込んでくる。同時に、本当にふと生物の中に新しい生物が生まれるのだな、という神秘性も感じてしまう。

ハンター氏は、標本コレクターとしての顔と同じくらい医師としても突出していて、新しい医療技術を次々と生み出した天才としても名高いようだ。感情や倫理観といった技術にとって不必要な要素をすべて削ぎ落として、人間を他の動物と同じ一つの”物”として徹底的に観察し、同時にそう扱えたからこそ、歴史に名の残るような偉業を成し遂げられるのだな、と思う。人間社会はこういった稀に発生する天才(ある意味での突然変異)によって今日まで支えられてきたことを実感できる。歴史って素晴らしい。

骨コーナーで箸休め…。

ヘラクレスオオカブトの親子ホルマリン漬け。シュールだ。

標本コレクションの他にも、手術道具や当時の手術の様子についての展示品も多い。困るのは、素人にとってはこの手術道具がまた恐ろしい点だろう…。

最後には最新医療技術の紹介コーナーも。

(あまりよくない意味で)自己の境界がフワフワしてくる展示が多いので、現実に戻ってくるきっかけとしてこのコーナーはとても助かった。鬱気味の人や気分が落ちている人はあまり行かないほうが良いかもしれません。

なんとか無事戻ってこれました。近くにいた陽気な兄ちゃん二人組がワイワイキャッキャと少し茶化すようなノリで展示を回っていたけれども、むしろ精神衛生的にはあの鑑賞法が正しい気さえしてくる。入場料は完全に無料で別日に改めて入ることもできるので、皆さんあまり無理をなさらないよう…。「この博物館、1日中居られる…」という人は間違いなく医者向きなので、帰国したら医大を受けよう!!!君の才能が世界を救う日が来るかもしれない。

というわけで、少しショッキングな写真もありつつ、最後までお付き合いいただきありがとうございました!!その場でしか味わえないひんやりした独特な雰囲気があるので、気になった方はぜひ実際に足を運んでみてください。

 

ではでは、皆さん日曜日もご安全に!