従兄弟相手に久々にアイルランドの話をしたので、そのときウケが良かった話をまとめておこうと思う。というわけで第1回目は、ドキ☆乞食だらけの海外生活〜物乞いパラダイス♡♡〜編をお届けします。
羊が長らく生息していたのは、アイルランドの西側にあるゴールウェイという地方都市。ゴールウェイは芸術の街とも呼ばれていて、特に音楽のイベントが盛ん。スタイリッシュでモダンなダブリンとは違う賑やかさのある街だ。
ストリートでの活動にも寛容で、毎日数組のアーティストたちが場所取りをしながら路上でライブを披露している。音楽だけじゃなく、絵や工芸品を売る美術系の人たちもよく見かける。
そして、アーティストに紛れて物乞いたちも毎日のようにストリートにスタンバイ。彼らは特に何をするわけではないのだが、自分たちの目の前に缶をおき、誰かがコインを入れてくれるのをじっと待っている。
アイルランドが特にそうなのか、キリスト教圏の共通の文化なのかはわからないが、こちらの人はよく投げ銭をする。気候の良い日い休日にバンドでライブをすれば良いときは1日に2〜3万円稼げることもあるのだとか。
日本人にはアイルランド乞食ハーレムになれる素質がある
日本人は西洋でモテる、とよく言われている。異性関係はよく分からんが、物乞いには確かにめちゃくちゃモテる。超話しかけられる。入れ食い状態。なので、異世界転生のようなモテモテハーレムを味わいたい人にはアイルランド留学がおすすめです。
ここからは、実際に会った物乞いの中から3つ、パターンをピックアップしてご紹介します。新たな出会いが…今始まる…。
①ストリート物乞い
ストリートを歩いていると座り込む乞食たちに何らかの施しをしている人たちを目にすることができる。おそらくゴールウェイで最もスタンダードな物乞いのパターンだろう。(流石に写真は撮っていません。ご勘弁を。)
コインを入れてもらってお礼を言う乞食もいれば、そうでない無反応な乞食もいて、それでも施しをするなんてみんな聖人だな〜と日本羊は思うのである。そして結構な頻度で施しを目にするのだ。
乞食たちに施されるものは現金だけではない。たまに、ジュースや食べ物のような現物支給をする人もいる。しかしながら乞食たちにとってこれは迷惑な行為らしく、めちゃくちゃ嫌な顔をして受け取る者、それより金くれとせびる者、と多種多様だ。世界広過ぎワロタ。
なんだかんだ一種の置き物のように風景に溶け込んでいる彼らなのだが、羊はこの物乞いたちにかなりモテた。前を通れば「お恵みを…今日暮らしていくお金もなくて…」と語りかけられる。しゃ、喋った〜〜〜〜!的な新鮮さがある。
どうみても羊より羽ぶりの良さそうなヨーロピアン観光客たちはスルーしたのに、なんでこんな貧乏そうな羊に話しかけんだよ〜〜。話しかけていただいたところ大変申し訳ないのだが、答えは沈黙である。スタコラサッサ〜〜〜。
しかしどうやらこの物乞いたち、本当の乞食なわけではなくて「ビジネス乞食」というものらしい。というのも、彼らは朝一番にどこからともなく車で運ばれてきて各配置につき、夜が更けるとまた車で運ばれてゆくのだとか。歩合制になっているのか、儲けは没収される代わりに衣食住を得ているのか分からないが、ディープすぎるメェねえ。(確かに夜遅くや天気の悪い日は出てこないので、その場に住んでいるというわけではなさそうな雰囲気)
②ガーモン&ガー⚪︎ァンクル物乞い
クリスマス付近に遭遇したこちらの物乞い。彼らは子供2人のユニットで、羊が昼間っからパブで酒を飲んでいたところ、急に羊の目の前で立ち止まった。サンタ帽を被りクリスマスセータを着て、装いも何となくこの季節らしい。
そして急にクリスマスソングを熱唱し始める少年たち(あまり上手くはなかった)。浮かれポンチ民かな?と思い、でもまあ子供だし多めに見るかと思い飲みながら鑑賞。盛大に歌い上げた後に、でかいバケツを目の前に出されて、「コンサート料を払え」と請求された。もしもしツルだけど???
ストリートなら早足で逃げるところなのだが、パブの中で距離が取りづらく、子供の小遣い稼ぎか…くらいに諦めて、仕方なく10セントを入れてあげた。これも勉強代メェね。
…しかしなんとこの子供達、あろうことか羊に逆ギレをかましてきたのだ。「こんな端金で良いと思ってんの?ペーパーマニー払えよ」と。びっくりしすぎてにんじんを奪われたモルモットのような顔になる羊。(♪〜Hello darkness, my old friend...)
その後も、「俺たちこの店に雇われてやってるからこんな少ない金じゃダメ」とか「10ユーロ持ってないの?」などとけしかけられ、羊は奥の手を発動した。その名も、ザ・英語わかりマセェエエエン外国人の術。"What???"を連呼して"Sorry, I can't understand English..."などと急に辿々しく言い始めた羊に愛想を尽かし、二人は次のターゲットを探しに行くのであった…。興が削がれてしまい、すぐに別のパブに移動してこのあと滅茶苦茶飲んだ。
③ハイテクバス乗り物乞い
街の中心まで、徒歩20分〜30分ほどのエリアに住んでいた羊。普段バスを使うことはあまりないのだが、その日は家を出てから天気がちょっと怪しくなってきて、電子機器をいくつか持っていたことから、途中からバスに乗ることを決意した。
バス停でバスを待つことおよそ15分ほど。あらかじめバス停で待っていたムスリム系の女性から声をかけられる。嫌な予感しかしない。(アイルランドの道端で知らない人に声をかけられたら基本ろくな案件じゃないぞ☆)
「バスに乗りたいけど手持ちのお金がない。バス代をくれないか?」
あー今日もモテモテ!モッテモテだね、羊!
バス代はこの距離なら1ユーロ程度。本当に困ってそうだったら別にあげても良いんだけど、シチュエーションを鑑みるに、この時点で相当怪しいのだ。
- 1ユーロも払えないのにシティセンターに何しにいくのかという疑問。(パブで酔い潰れて財布を落としたから帰りのバス代を貸してくれ、のほうが信頼できる謎)
- 終点のシティセンターまではバス停4駅、徒歩でも15分程度。雨は小雨。足も不自由じゃなさそうだし、歩けば?という疑問。
- バスで使えるキャッシュがないという話なら、すぐそこのATMで下ろせばいいという状況。
あまりに怪しすぎたのと、羊はバスは学生用ICカードで普段乗っていて他の人には使えないことも相まって「ちょうどいいキャッシュがないからごめんなさい」という理由で断ることに。ないものはないんだし、まあこれで諦めるだろう。
すると彼女は、スマホで自分のリープカード(アイルランドの交通ICカード)アプリを立ち上げ、「ならここにトップアップ(=チャージ)して!クレカも使えるからキャッシュなくても大丈夫!」と羊にせがむ。いや、余計嫌だわ!!!!てかなんで変にハイテクなん!?!?!?
クレカ情報を人に渡したくないと断れど、あれやこれやと捲し立ててきたので、ここでも英語ワカリマセェエエエンを発動。閉めたのは羊の心のシャッター。
向こうも流石に諦めたのか、会話は一旦そこで終了。…したはずなのだが、バス停から去らず、あろうことか羊が腰掛けた長椅子?腰椅子?のすぐ隣に陣取る女性。え、気まずいんですけど…。もう諦めて歩いて…。
次のターゲットを待っているのかと思い、とりあえず無視。程なくして1組のカップルがやってきた。ああ、あのカップルも可哀想に…とちょっと同情する羊だった…のだが…。
カップル「イチャイチャキャッキャ」
物乞い「…。」
話しかけないんかい!!!!!
このままじゃバス乗れじゃいんでしょ!?諦めんなよ、お前!どうしてそこでやめるんだ、そこで!!もう少し頑張ってみろよ!ダメダメダメ、諦めたら!周りのこと思えよ、先に声かけられた羊のこと思ってみろって!あともうちょっとのところなんだから!!!
とても腑に落ちない気持ちのまま、羊たちの前にバスが到着した。とりあえずもうこれ以上絡まれたくなくて、いの一番にバスに乗り込む羊。幸いにも精算(アイルランドのバスは前精算)のときは何事もなく、やっと羊に安寧が訪れた…はずだった。
カップルの後にバスに乗り込もうとする物乞い。つ、ついに運転手さんに直談判か…?と思って観察していると、フツーにスマホ版ICカードをピッとタッチしてバスに乗ってきた。しかも、悪びれた様子もなく、羊の2つ前の席に着席。あのさ、厚顔無恥って知ってる???????このくらいの強かさがないと物乞いとして暮らしていけないと言うことか…。羊もそのときが来たら見習います…。
というわけで、学校で英語がうまく喋れずに落ち込んでいる日も大丈夫!親切な物乞いたちが積極的に話しかけてくれるよ♪みんな、アイルランドのストリートを歩くときには、心を鬼にしような…。おすすめの血鬼術は日本語ワカリマセェエエン。
こんな感じでアイルランドのちょっと負の部分も紹介できたらと思います。次はメシマズ料理3選を企画しております。ではではみなさん、週末もご安全に!